ALRECO

フィクションです

親知らずを抜いたDAY

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「親知らずを見送る会」 (別名: 最後の晩餐) 

 

親知らずを抜いた。

今回は右側の上下、計2本を抜いた。また別日に1本抜く予定である。下の親知らずはどちらも真横に生えていて、ついでに両方とも虫歯になっていた。痛み出す前に抜いておいた方が良いと、定期検診の度に何度も何度も言われたので遂に行くことにしたのだ。私の親知らずは面倒な生え方をしていたので行きつけの歯医者では抜いて貰えず、近くの大きな病院を紹介して貰った。

 

当日は本当に憂鬱だった。抜歯本番は、緊張と恐怖でほぼ覚えていない。医療ドラマで見る手術箇所だけ穴が空いてる布みたいなのを被せられた。もう、緊張で何も考えられず、小学生の時に覚えた円周率50桁を何度も心の中で唱えた。これが信心深い仏教徒なら念仏やお経になるのだろうと思い、何か本当の必要性を感じた気がした。あとは、骨を削る機械の音と、やたらめったら力任せに歯を引っ張られ、どこかの骨がミシミシ...メキメキ...という嫌な音を発していたのを覚えている。

 

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貰ってきた。赤いのは血じゃなくて歯茎です。もっと嫌だな。「抜いた歯は持って帰られますか?」と聞かれた際の返答を仕事中に何度もシミュレーションしていた為、私の対応は慣れたものだった。嘘だよ。

 

親知らずを抜いた後、頬は大して腫れなかった。よく見たら顔の輪郭が左右非対称だな...というくらい。血は2日もしたら出なくなった。が、何故か飲み込む時に喉が痛み、これが何より辛かった。風邪の時、唾液を飲み込むと喉が痛い、という経験は無いだろうか。どういう原理だか分からないが、この症状が長く続いた。処方された薬を飲むと多少マシにはなる。ただ、本当に風邪を引いた気分で、あまり元気はなかった。